友人の看護師から聞いた話なのだが、お昼ご飯に旦那さんの作ったカレーを食べて入院してきた患者さんがいたそうだ。
その奥様は普段料理をしない旦那さんに作ってもらって、ありがたく頂戴したところ、思いのほか薄味だったという。不思議に思っていたら、食器を片づけたときにキッチンに未開封のカレー粉を発見した。
それでも、料理を作ってくれた感謝と、次への期待を込めて何も言わずにおいたそうである。
うちの旦那も時々、料理を作ってくれる。
野菜炒めや、生姜焼きなどを、ザ男飯と言わんばかりの大盤振る舞いで、大皿に盛る。
いつもありがたく美味しく頂いているが、私が一番好きなのはハンバーグである。
私のおふくろの味は、洋食メニューの得意な母の作るハンバーグだったから、ハンバーグにはうるさいほうだったのだが、旦那の作ってくれたハンバーグを初めて食べたとき、その美味しさに仰天した。
閉じ込めきれずに溢れ出て止まらない肉汁がジューシーだった・・・!
レシピは秘伝とのことで教えてもらえなかったが、リクエストすると面倒がりながらも渋々作ってくれる。
私は、ソースやレシピではなく、ハンバーグをこねたり、握ったりするその手に秘密があるのではないかと思っているのだが、男女の手の皮の厚みの違いはハンバーグにも現れてくるのだろうか。
キッチンに立ち始めたころ、私は高校生だったろうか、フレンチトーストを作ったことがある。
おやつに食べようとクックパッドを見て作り、一口味見をしてみたら、塩っ辛かった。
なんと、砂糖と塩を間違えて入れていたのである。どんくささにも程がある!とひとり嘆いた。
捨てるのはもったいないと思い半分まで食べたが、あまりのまずさにそれ以上は食べ進められず、「ごめんなさい。」と捨ててしまった。
さすがにもう、塩と砂糖を取り違えることはなくなったが、あの日のフレンチトーストを教訓にして、どんくさいドンちゃんが出ないよう、お料理を作るときには細心の注意を払うようにしている。
週末に旦那と夕飯を食べる時、テレビをつけていても、向かいざしで黙って食べるのがむずがゆくなることがある。
以前は「美味しい!」とはっきり口に出して感想を言ってくれていたのが、慣れてしまったのか、最近は何も言われなくなった。
今更「美味しい?」と聞くのは野暮な感じがして嫌だ。
聞けない代わりに、「今日の味付けは薄いかも・・・。」とか「今日のお魚はあそこで買ったけど、どうだろう。」と言い訳じみたことを口走ってしまったりする。
テレビを見るフリして、旦那の箸の進み具合やおかわりの程度を目の端で盗み見たりする。
最近は、看護師の友人の話を思い出し、用もないのにキッチンに立つ動作も増えた。入れ忘れた調味料、ないよね・・・?
こそこそ小芝居を続けている間に、旦那は完食して、「ご馳走様。」と皿を重ねて流しに向かう。
その背中を見てようやく安心するのだ。
今晩の博打に勝ちました、私!

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